2026年5月定例会レポート:石坂産業見学から見えた、環境へのまなざしとはたらく人の幸福度

2026年5月の定例会では、埼玉県三芳町にある石坂産業株式会社と、その敷地内にある「三富今昔村」を訪れました。
石坂産業は、産業廃棄物の中間処理・資源循環を担う企業です。けれど、実際に足を運んでみると、その印象は「廃棄物処理の会社」という一言ではとても言い表せないものでした。
広大な敷地の中には、資源再生工場だけでなく、里山や散策路、文化を伝える施設があります。自然・人・技術がどう共生できるのかを、五感で体験しながら学べる場として設計されていました。

「ごみをごみにしない」
その言葉を、理念として掲げるだけでなく、空間全体で伝えている。まずそのスケールに圧倒されました。
見学のスタートは資源再生工場から。

産業廃棄物を受け入れ、分別し、再資源化していく工程は、想像以上に緻密で、そして徹底されていました。
「ここに持ち込まれるものの中には、本来であればごみにならなかったものもたくさんある。だからこそ、入口の時点で減らしていくことが大事」
処理の技術を高めるだけではなく、そもそも廃棄物を増やさない社会のあり方にまで視点が向いている。その話に、石坂産業の取り組みの本質を感じました。

個人的にとても印象に残ったのが、敷地内ですれ違う社員のみなさんが、自然に挨拶をしてくださったことでした。
ガラス越しに作業をしている方まで手を止めて会釈してくださる場面もあり、その一つひとつから、この場所を大切にしていることや、働くことへの誇りが伝わってくるようでした。
見学通路の一部には「GREEN ACTION STREET」という、お客様と社員のメッセージが並ぶ通路もありました。

見学に来た人たちの感想やメッセージが壁いっぱいに掲示されていて、その中には、学生として見学に訪れたあと「ここで働きたい」と面接を受け、実際に社員になった方のメッセージもありました。
お客様としてこの場に出会い、その価値に共感し、今度は働く側として関わっている。それが一つのエピソードとして紹介されていたことに、とても心を動かされました。
見学者に「伝わる」だけではなく、そこで働く人たち自身が誇りを持って関わり続けている。その循環が自然に生まれていることが、石坂産業の大きな魅力なのだと思います。
そして工場見学のあとに歩いた里山の時間。
木々の間を抜けながら、工場のすぐ隣にこれだけ豊かな自然が共存していることに驚きました。

自然と産業を切り離すのではなく、両方を同じ場所で成り立たせようとしている。その挑戦が、この場所全体から伝わってきました。
定例会のテーマでもある「幸せでい続ける経営」という視点で見ても、印象に残ることが多くありました。
工場見学のあとのグループワークでは、社員のみなさんと直接お話しする時間もありました。

印象的だったのは、それぞれが自分の仕事に納得感を持って向き合っていることでした。
当初想定していた部署とは違う配属になったという若手社員の方からも、「この仕事が好き」「ここで働くことに意味を感じている」という空気が自然に伝わってきました。今の仕事にしっかり意味を見出し、前向きに取り組んでいる姿からも、一人ひとりをよく見ながら、その人に合った役割とのマッチングが丁寧に行われているのではないかと感じました。
グループトークの最後に「幸福度はどれくらいですか?」と聞かれたこの方が、「100%です」と迷いなく答えていたのも、強く印象に残っています。
環境への配慮や社会への価値提供だけではなく、そこで働く人が自分の仕事に意味を感じられること。さらに、その想いがお客様や地域にも伝わって広がっていくこと。
それは数字では測りきれないけれど、確かに組織の強さにつながっている。そんなことを考えさせられました。
石坂産業は、2027年1月から創業時の名称である「石坂組」へ社名を変更されるそうです。
その背景には、資源循環にとどまらず、自然再興や新たな価値づくりへ取り組みを広げていく意思があるとのことでした。
特に心に残ったのは、「組」という言葉に込められた意味です。
志を同じくする者が集まり、責任を持って未来を組み上げていく。
その言葉を聞いたあとに工場や里山、社員のみなさんの姿を見ると、会社の名前そのものが、この場所のあり方を表しているように感じられました。
石坂産業株式会社、2027年1月より「石坂組株式会社」に社名変更 – 石坂産業株式会社
石坂産業株式会社(本社:埼玉県三芳町、代表取締役:石坂典子)は、 2027年1月1日付で、社名を「石坂組株式会社」へ変更いishizaka-group.co.jp
最後に、敷地内の三富今昔村で販売されていたパンを買って帰りました。
このパンに使われる酵母や小麦は全てこの場所で作られているのだそうです(小麦って北海道など涼しいところで栽培されているイメージだったのでびっくり!)。ただ「パンを販売している」ではなく、土地や自然とのつながりを大切にしながら作られているというこの場所の思想や価値観が、食べるものにも自然につながっているのだと感じました。
見学して学んだことを、最後にパンとして持ち帰る。それもまた、この場所らしい循環の体験だったように思います。
今回の見学のあとにあらためて石坂産業について調べてみると、印象的な言葉がありました。
「見知らぬ土地に植樹するより、まず地元の森を守ることが先だった」。
地域との関係に悩みながら、足元の自然を整え、少しずつ信頼を積み重ねてきた背景を知ると、今回見た里山や工場の景色がより立体的に感じられました。
環境への取り組みを理念として掲げるだけではなく、地域に必要とされる存在であり続けようと行動を積み重ねてきたこと。
その時間の蓄積が、働く人の誇りや、この場所全体のあたたかな空気につながっているのかもしれない。そんなふうに感じました。
石坂産業での見学は、「循環」という言葉を、単なる環境の話ではなく、人や地域も含めた大きなつながりとして体感できる時間になりました。
また訪れたい。
そして、誰かにも紹介したくなる。
そんなふうに思える、豊かな学びの場でした。
執筆:研究チーム 皆川久美香(写真:浦谷裕樹)


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